ベッドメーカー営業を5年間経験した感想|家具インテリア業界の仕事について

こんにちは。先日、新卒で5年間働いていたベッドメーカーを退職し、他業界に転職することになりました。
家具・インテリア業界って、ニトリやIKEA以外だと、メーカー名を聞いてもピンとこなかったり、労働人口が少ないこともあって比較的ネット上に情報が少ない業界だと思います。
そこで今回は、僕がベッドメーカーの営業として5年間働いた経験を元に、業界の状況、働き方、年収、いい点と大変な点、等を、実体験ベースでまとめてみたいと思います!
家具・インテリアメーカーで働きたいと思っている人にとっては、多かれ少なかれ参考になるかなと思いますので、ぜひ読んでいってください!
目次
■業界の現状とこれから

まず、ざっくりとインテリア業界の現状とこれからの流れを知ってもらいたいと思います。
なぜならば、この背景がインテリアメーカー営業の働き方に大きく影響を与えているからです。
※前提として、ニトリやIKEA等の「メーカー+小売」という業態の会社は省き、純粋な「家具メーカー」を対象とします。
-家具業界の現状-
家具小売店の集客力が低下 ←背景:ニトリの好調やネットでの購入増 ↓ 元売場以外の場所に「ネット集客」 ①会場を借りたイベントの開催 ②メーカーのショールームでイベントを開催 |
家具メーカーの主要な取引先は「家具小売店」です。
いわゆる、家具屋さん。
全国チェーンとしては「東京インテリア」や「大塚家具」、その他、各地域に地元に根付いた家具屋さんがあります。
ただ、ニトリの台頭やネット購入客の増加により、
家具小売店の集客力は低下しています。
そんな状況の中で、家具店は「会場を借りたイベント」を多発しています。
展示場やホールを借り、ネットやチラシで集客を図り、イベントという特別感を演出して、売上を稼いでいます。
また、メーカーのショールームという場を借りてイベントを開催し、ネット集客・販売をメインに行っている会社もあります。
結果として
イベントでの売上>家具店の売場での売上
という家具店が増えつつあります。
-家具業界のこれから-
家具小売店の減少 - チェーン店や一部の大型家具店のみが残る ↓ メーカーはショールームでの集客・販売に力を入れ、 「半・直販」のような形へ |
中小の家具小売店は、ここ数年で倒産が相次いでおり、今後もその流れは加速していくのではないかと推測します。
一部の地域主要店のみが残り、東京インテリア等のチェーン店がよりシェアを高めていくような形になると思います。
一方で、メーカー側としては自社商品を売る販路が減少していくわけで、活路を見出すところとしては「自社ショールーム」での集客・販売です。
基本的に家具メーカーは「卸売り」のため、小売店経由でしか販売できませんが、今後は「直販」まではいかずとも、「半・直販」のような形に徐々に移行していくかと思います。
■仕事内容・働き方の特徴

次に、働き方を紹介します。
ベッドメーカーの営業は、他の業界の営業と比べて、少し特殊な仕事内容となっているので、わかりやすいように下のようなグラフを作ってみました。

ざっくりとした感覚ベースですが、こんな感じになってます。
・営業+事務仕事:4割 ・販売・接客:4割 ・作業:2割 |
インテリアメーカー(特にベッドメーカー)は
「販売・接客」と「作業」の要素が比較的多く、ここが特徴的であると感じています。
販売・接客
ベッドメーカーの営業は、土日は担当店の売場に立って販売応援をする、という風習があります。(ショールームやイベントでの販売も)
主要店にはほとんどどのメーカーの営業も店頭に販売をしに来て、とにかく自分でお客さんを捕まえて自社商品を売る、というような形です。
作業
また、先述したように、最近では得意先主催の「会場を借りたイベント」が多く、土日に開催する場合、金曜日は準備、月曜日は片付け、という形になります。
ベッドは特に他の家具に比べて組み立ても必要になりますし、20~30kgほどのマットレスや60〜80kgの電動ベッドを運ばなければなりません。
大きい展示会なんかだと、30〜40台という数のベッドを組むことになります。
もちろん作業アルバイトと一緒に行いますが、これも営業の仕事になります。
・金曜日:商品の降ろし、開梱・組み立て、装飾 ↓ ・土日:接客・販売 ↓ ・月曜日:商品の解体・梱包、積み込み |
このような形で、イベントがある週は1週間のうち4日はそれに費やすことになります。営業所にもよりますが、繁忙期は毎週のようにイベントがある月なんかもあります。
■よかったところと大変なところ

<よかったところ>
①「ルート営業」なので既存取引先への営業
基本的に、予め取引のある得意先への営業になるので、ある程度人間関係ができてしまえばストレスなく仕事を進められます。
特に大手のベッドメーカー(インテリアメーカー)であれば、より取引先からの信用も強いので、営業や商談に関してはすごく苦労する、ということはないかと思います。
②商談がさほど堅苦しくない
ベッドメーカーの取引先の大半は、家具小売店です。
家具屋さんで働いている方々は、気さくで温厚な方が多い傾向があります。
(もちろん、人にもよりますが。)
キチキチ!っとしてなくても、商談はなんとかなったりします。
どちらかというと、得意先の方々と仲良くなり、他愛のないことを話せるような関係になっておき、商談をスムーズに運ばせるというような形の方が、上手く行きやすいのかなと思います。
③エンドユーザーの暮らしに直接関われる
メーカーの営業でありながら、比較的接客の割合が大きいので、直接お客さんに商品の魅力を伝えられます。
個人的には、このエンドユーザーに直接提案できるというところは、ひとつのやりがいとなっていました。
お客さんの悩みや要望をヒヤリングした上で、自分なりの方法で商品を提案し、実際に購入いただけた際には、とても嬉しい気持ちになります。
<大変だったところ>
①平日休み、定休があるようでない
土日の販売があることにより、必然的に平日に休むことになります。
各社定休が定めらてれてはおりますが、僕がいた会社なんかは「土日祝休み」という規定だったので、毎回休みを振り替えているような状態でした。
他のメーカーでも、それぞれ定休があるにしても「休みの振り替え」が発生しているという会社はしばしば見受けられました。
そういったことがあるため、休日の計画は立てづらいです。
「決まった定休がない → いつでも働けてしまう」
という状態なので、得意先の都合に合わせて休みを急遽ずらす、というようなことが多々ありました。
これにより、僕も何度かデートの約束が潰れたり(笑)、2連休が1日休みになったり…ということがしばしばありました。
②作業が付きもの
「働き方」のところで紹介したように、インテリアメーカー(特にベッドメーカー)の営業は作業量が多いです。
イベント時はなかなかの重量・物量のものを搬入・搬出しなければならないため、身体はなかなか堪えます。。
イベント以外の時でも、家具店で新規展示したベッドの組み立てや売場移動が発生するので、多かれ少なかれ「作業」は付き物になっています。
③シェア争いが激しい(レッドオーシャン)
冒頭で話したニトリやネット通販の好調により、小さくなったパイを、数社で取り合っています。
そのようなレッドオーシャンの中で、必然的に常に他社を意識しなければならないような状況で、うかうかしていては他社にすぐシェアを奪われてしまうため、常に危機感を持ち、対策を考えなければ!という雰囲気があります。
特に店頭での販売時なんかは、各メーカーの営業がお客さんに先に付こうと必死です。…が、家具店の集客自体が少ないので、本当に、少ないチャンスを多くのメーカーで争っている形になっています…。
■インテリアメーカーの売上ランキング
ここでは、インテリアメーカーの売上ランキングを見てみたいと思います。
「メーカー(製造業)」という括りで見ると、年商100億円以上の会社は6社のみ、という状況です。
1位:パラマウントベッド 509億 2位:フランスベッド 498億 3位:カリモク家具 263億 4位:オリバー 242億 5位:シモンズ 174億 6位:ドリームベッド 100億 |
(出典:『家具企業要覧2021年版』)
ベッドメーカーを赤字にしてみました。
こう見ると、比較的ベッドメーカーの売上高は高い傾向にあります。
※パラマウントベッドは、家庭向けベッドより病院・施設向けベッドをメインとしたメーカーのため、今まで紹介した働き方とは全く異なります。
■ベッドメーカーの給与水準
インテリア業界は、他の業界に比べると給与水準がやや低い傾向があります。
ただベッドメーカーの給与は、家具メーカーの中では比較的良い方でした。
給与は大手のベッドメーカーであれば、平均すると
30歳で年収450万円前後、40歳で年収600万円〜650万円ほどかと思います。
ただ、大手以外だと給与水準は低い傾向がありますので、できることなら大手への就職を狙った方が良いかと思います。
■ベッド(インテリア)メーカー営業になるには

■必要な資格
ベッド(インテリア)メーカーの営業になるために必要なことは、特にありません。
専門的な知識はいらないですし、「インテリアコーディネーター」等のインテリア系の資格も必要ありません。
■入社難易度
僕は新卒での入社でしたが、インテリアメーカーの営業は、求人が少ないです。
全国で3~10人程度といった採用数です。(僕は大手にいましたが、同期は自分を入れて4人でした。)
ただ、志望者も少ないため、そこまで倍率が高くなることはないと思います。
学歴も平均以上の人は少なく、大卒であれば十分可能性があります。
また、中途採用は、人手が必要時にその都度、各エリアで募集がかかります。
よくあるパターンとしては、「家具小売店の販売→インテリアメーカー」という流れや、「インテリアメーカー→インテリアメーカー」という流れが比較的多いです。
ただ基本的には、営業経験さえあれば、業界未経験でも十分可能性がありますし、業界に慣れてしまえば難なくやっていけると思います。
■まとめ

以上、僕が5年間お世話になったインテリア業界・ベッドメーカー営業についてまとめてみました。
作業量が多かったり、休みが不定期だったりと、色々と大変なことはありましたが、「人の暮らしに携われる」というやりがいは感じながら働くことができました。
メーカーの営業でありながら、接客の機会が多いのは、人によってはやりがいを感じられるいい仕事だと思います。
最後に、
この記事に書いていないことで、もし何か他に聞いてみたいことがあれば、コメントでもTwitterでもいいので、なんでも聞いていただければと思います!答えられることであれば、できるだけ答えたいと思います!
それではまた。
ぼくです。コーヒーが大好き! このブログの筆者です。20代後半、名古屋在住の会社員です。妻と2人暮らしをしています。好きな色は「青」、好きな作家は「村上春樹」です。
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